看護師にとって看護観を考えるのが重要なのは、主体性を持てるかどうかを大きく左右するからである。看護観についてあまり真面目に考えたことがなかった看護師が、少し時間を取ってじっくりと考えた結果として主体的に仕事に取り組めるようになることは多い。
それ以前に主体性が低かったのは、何をしたら良いかを具体的に考えることができず、指示を待って受け身で業務をこなしていたからだ。
何をすべきかを自分なりに考えて決断するためには根拠が必要になる。看護観が確立されていないと、言われたことを遂行することはできても、自分でやった方が良さそうなことを思いついたときにそれが正しいかわからずにためらってしまいがちになる。
しかし、看護観を確立することで自分なりの根拠に基づいて決断をすることができるようになるのだ。これによって指示を受けずとも主体性を持って行動できるようになる。
そうすると受けられるメリットは少なくない。主体的に行動すると経験を通して得られた知識や技術が身に付きやすい。また、決断をするために必要な知識を自分で学ぼうという気持ちも生まれるようになるだろう。
このような形で成長が促されることに加え、行動を頻繁に起こすので成果も出やすい傾向がある。頑張ってやれば成果が出るということが理解できると仕事の楽しみも増え、また自分で考えて行動を起こそうという気持ちも生まれるようになる。
このような正の循環が生まれるのが看護観を持つメリットである。